2021年1月16日土曜日

浮世絵と楽器  musical instruments in Ukiyo-e pictures


浮世絵に描かれている楽器の数々

浮世絵には、案外楽器が描かれているものがあります。

もちろん、今日のオーケストラのような近代的楽器は少ないですが、

日本の伝統的な楽器のすがたを、浮世絵を通して窺うことができます。





日本ならではの楽器、琴



水野年方 「三十六佳撰 琴のしらべ 弘化頃名古屋婦人」(1893)


今から約130年ほど前に、描かれた作品です。

タイトルに、弘化頃とありますが、弘化は1844年(1845年の記載もある) から1848年となっています。

美しい着物やかんざしが、豊かな暮らしぶりを感じさせ、

琴の美しい音が、いまにも聞こえてきそうですね。






琵琶の名手 藤原師長



月岡芳年 「宮路山の月 師長


尾張に流罪になった藤原師長(ふじわらのもろなが)を描いた作品。

藤原師長は、平安時代末期の人物(1138-1192)で、琵琶の名手として名を遺しています。

師長が琵琶を弾くと、宮路山の水神がすがたを現したという言い伝えがあり、

作者、月岡芳年(1839-1892)は、約700年前の出来事を描いているというわけです。



三味線でしょうか。美しい婦人が二人描かれています。



水野年方 「三十六佳撰 初音 万治頃婦人」(1893)

本ブログで最初に掲げた琴の作品の連作でしょうか。同じ作者、水野年方のものです。

弾いているのは、三味線でしょうか?

右の女性の着物が、実にあでやかで、現代風の思い切った柄なのに感動しました。

本当にすてきな柄です。

万治とは、1658年から1661年をさしますので、最初の琴の作品とは、描いている対象の時代が異なります。

初音というのは、窓から見えているうぐいすのことでしょう、たぶん。




こちらも三味線のようです




楊洲周延 「二十四孝見立画合 第八号老来子」 (1890)


作者は江戸末期に生まれ、大正元年に亡くなった(1838-1912)浮世絵師です。

ようしゅう ちかのぶと読みます。

扇をもって踊る女性と、三味線を弾く女性の表情が生き生きと描かれています。



笛を吹く少年


月岡芳年 「原野月 保昌」


笛と言うと、ひな人形の五人囃子か、牛若丸を思い出します。

ここで描かれているのは、藤原の保昌です。
平安時代中期の貴族で、武勇にすぐれていることで知られています。

後ろにいるのは盗賊で、保昌の衣を盗もうと狙いますが、隙がない保昌に圧倒されてなにもできなかったと言われています。

保昌は、高名な歌人・和泉式部の夫としても知られています。

ちなみに、和泉式部の歌で私がもっとも好きなのは、

物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれいづる魂かとぞみる 和泉式部

暗きより暗き道にぞ入りぬべき遙かに照らせ山の端の月   和泉式部
   
です。




ビードロ(ポッピン)は楽器かどうかちょっと自信がありませんが


喜多川歌麿 「婦女人相十品・ビードロ(ポッピン)を吹く女」


たいへん有名な絵です。

市松模様の着物が、すばらしい。

ポッピンというか、「ビードロを吹く女」のほうが、私はなじみがありますが。

ガラス細工のおもちゃのようなものらしいです。

昔いちどいただいたことがあるような気がしますが、ぺこぺこ音を立てるんでしたかね。

作者・喜多川歌麿は、1853?-1806の人生を生きた浮世絵師です。










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