2021年9月6日月曜日

浮世絵に描かれた馬の世界   ukiyo-e and horses



浮世絵に描かれた馬の姿


今日、日本では馬に乗っている人を見ることは本当に少ないですね。

乗馬を趣味としている人もあまりいませんし、

乗馬を楽しめる施設も多くはありません。


私は、ずいぶん前に、東京のある馬場で

乗馬初心者コースというプログラムを受講したことがありまして、

確か7-8回くらい乗ったように思います。

オーストラリアでも一度乗りました。

初心者を乗せてくれる馬は、とてもよく調教されていて、

こちらの指示が下手でも、ちゃんと動いてくれます。

といっても、インストラクターが脇についていればの話で、

なにかでちょっとインストラクターが離れると、

急に、がーっと首を下げて草を食べて、こちらをびっくりさせたりします。

とても頭のいい動物だと思いました。

さて、日本でも昔は馬に乗って旅をしたり、

農耕を行なったりしていたのですよね。

その様子を浮世絵を通して、見てみたいと思います。

浮世絵は、すべてパブリックドメインからのものです。











東海道五十三次、広重が有名ですが北斎も描いています




葛飾北斎 「東海道五十三次 絵本駅路鈴 江尻」



東海道五十三次、江尻宿です。

旧清水市の中心部、現在の静岡市清水区に相当する地域だそうです。


葛飾北斎 「東海道五十三次 絵本駅路鈴 江尻」

とタイトルが付けられていました。

東海道五十三次は、歌川広重の作品が有名ですが、

葛飾北斎は広重より先に連作で描いています。

働く人の様子や、首を下げた馬が、とてもよく当時の状況を描写していると思います。








歌川広重「東海道五十三次 吉原 左富士」1833-1834


こちらは、広重の作品で、吉原宿を描いたものです。


吉原宿は、静岡県富士市に相当します。


松並木と左に見える富士山が、美しいですね。


馬は後ろから描かれています。





歌川広重 富士三十六景



歌川広重 「富士三十六景 上総鹿山」


笠をかぶった人に馬を引いてもらって、


馬上の人も馬引きも、眼前の富士山に見とれているのでしょうか。


馬の尾の様子が、目を引きますね。


現在の千葉県君津市に相当します。





葛飾北斎 富嶽三十六景



葛飾北斎「富嶽三十六景 東海道程ヶ谷


葛飾北斎の富嶽三十六景は、1831-34年(天保2-5年)の版行です。


東海道程ヶ谷は、現在の横浜市保土ヶ谷区に相当する地区ですが、


程ヶ谷/保土ヶ谷と、「ほど」の漢字が変化していますね。


絵の左側にいる駕籠かきのひとりは、草履のひもを締め直しているようです。


馬の尾は、ここでもくるっとなっていますので、


広重の左富士や上総の馬の尾と同じく、


当時はこういう書き方だったのでしょうか。


それともじっくり観察すると、こういう風に巻いているのかもしれません。


右端の僧侶は、反対側に向かって歩いています。


当時の旅する人々の様子が、よく分かる浮世絵です。



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