お正月も近づいてくると、百人一首のことが思い起こされます。
普段はほとんど意識しない方も、お正月になれば歌留多大会の映像などを目にされる機会も増えるのではないでしょうか。
とはいいましても、今年はコロナコロナで、人が集まることもできません。年明けの歌留多大会も、きっと見直されるのでしょう。
コロナの影響というのは、計り知れないほど大きいと思うばかりです。
私が好きな一首は寂蓮法師の歌です
村雨の露もまだ干ぬまきの葉に霧立ちのぼる秋の夕暮 寂蓮法師
さっき、通り雨が降ったばかりだ。その雨のしずくも乾かない檜の葉に、静かに霧が立ち上ってきた。そんな秋の夕暮れ時である。
現代語風に訳すと、こんな感じでしょうか。
じつにしみじみとした、情感あふれる歌です。
実際、南伊豆の浜辺に立つと、海の向こうに里山が広がり、静かにもやが立ち上っていることがよくあります。
そんなとき、この歌を思い出します。
まきの葉は、檜に限らず、もっと広く常緑樹を指しているようです。
寂蓮法師は、1139-1202年の生涯を送った人で、今から800年以上前ですよね。
800年経っても、その輝きはすこしも損なわれることなく、引き継がれているわけで、もうすばらしいの一言です。
美しい歌は、永遠ですね。
さて、英訳するとどうなるでしょう
なかなかむずかしいですが、まず、意訳をしてみますね。
There was a sudden shower and the raindrops on the leaves aren’t dry yet, while it is getting foggy outside in the autumn evening.
autumn evening が、和歌ほど効いてないです。
といっても、日本語の現代語訳でも同様ですね。
もとの歌では、秋の夕暮がビシッと決まっているのに、訳ではむずかしいとは。
もう少し研究してみます。